紺野道昭通信

私の家族観⑧(定期発信-Vol.63)

日に日に心身衰弱が高まり、とうとう妻に告げました。

 

「社長を辞めようと思う」

 

自らを決して弱くはない人間だと信じていましたから、まさか自分がこれほどの弱音を吐くとは思ってもみませんでした。

しかしこれ以上私の心身が悪化し、家族に迷惑をかけるくらいならほかに選択肢はないと考えたのです。

 

私の言葉を聞いた妻は、驚きも落胆もせず、また叱咤激励もありませんでした。

代わりに私の目をしっかり見据えてこう云ったのです。

 

「そんなに辛いなら辞めたらいいよ。私がパートで稼ぐから心配しないで」

 

私は目を丸くしました。

妻は私をほんとうに心配してくれていたのです。

反対に私の方が妻のことを信用していなかったと深く反省しました。

家族を支えているのは私だけだと勝手な思い込みをしていたのかもしれません。

もっと早く妻に相談していたら、妻に余計な心配をかけることはなかったでしょう。

 

私は自らの覚悟の足りなさがすべての原因だと悟り、辞めるという言葉を撤回しました。その日はゆっくり休み、翌日から死ぬ気で仕事に励みました。

多少の時間こそ掛かりはしましたが、社員の成長と市況のおかげもあり、やがて業績は少しずつ回復していいきました。

 

どれだけ辛いことがあっても家族とは固い絆で結ばれています。

最後の最後になっても信用できるものだと私は思います。